きまぐれ事典

ウェブデザイナーがあれこれきまぐれにつづる日々のくらしの百科事典。

シンプルなのではなくエンプティネスである無印良品

Posted on | 2010年 2月 10日 | Permalink

【emptiness】
空、空虚、中空、虚、がらんどう

無印良品は僕の大好物のブランドのひとつです。その無印良品のトークイベントで、無印良品のアドバイザリーボードでもあるデザイナー原研哉さんがお話しされたとか。そのトークの採録を無印良品のサイトで読んだのですが、これがまた良かった!ちょっとだけタイミングずれてしまいましたが、無印好きとしては外せないかと思いブログを書いています。

原研哉氏トークイベント採録|くらしの良品研究所|無印良品

無印良品のコンセプトのお話、無印良品好きとしてはとても面白く、興味深かったです。わかりやすく、そしてとても深いお話でした。

無印良品は、シンプルではなく、エンプティネス。
“空っぽ”の中には、何でも入れられます。

無印良品の商品を表すのにしばしば「シンプル」という言葉をあてはめてしまいがちなのですが、じつは「エンプティネス」の方がふさわしいのだと。似ているようで違うのですよ。そもそもエンプティネスなんて表現はあまり聞いたことなかったのですが。

無印良品の商品はエンプティネス。さてどういうことかと言いますと、そもそもエンプティネスというのは空っぽということですよね。エンプティネスとは空っぽの状態なのであらゆるものを受け止められる余裕があるというのです。それを単にシンプルというのとは区別してエンプティネスと定義されてる。

トークの中で事例を挙げておられるのでちょっと引用しますね。

これはシンプルとエンプティを説明する分かりやすい事例です。

ヘンケルの包丁

こちらはヘンケルの包丁。僕も台所で使っているものですが、すごくよくできています。グリップの位置がしっかりしているし、刃の微妙な反りもよくできていて自然に切れる。人間工学的にもきちんと考え抜かれてていますから、西洋流のシンプルのひとつの極点にあるような、いい仕事だと思います。

柳刃包丁

一方、こちらの柳刃包丁はエンプティネスの典型。
板前さんが刺身などをつくるわけですが、どちらの包丁がより高度な技術を受け入れるかというと、明らかにこっちの柳刃包丁のほうです。こちらにはグリップも何もなくプレーン。どこを持ってもいい。だから、薄造りの刺身をつくる時と、何かをみじん切りをするときとでは、たぶん持つところや持ち方が微妙に違うはずです。包丁を研ぐと、刃の長さが短くなりますから、また持つところも違ってくる。どこを持ってもかまわないということは、板さんの超絶技術をこのプレーンな柄で全て受けとめるということなんですね。これがエンプティです。

とても分かりやすくないですか?無印良品の商品の背景にはこのエンプティネスがあるとおっしゃっています。無印良品の商品はすべてを受け止めるように出来ている。どこで使おうが、どのように使おうがかまわない。そういう自在性が確保されているんですね。

私もこれまで無印良品モノは多数購入してますが、なるほどなーと思いましたよ。言われてみればそうかもなと。商品だけでなく広告にもそういうコンセプトはしっかり反映されております。無印良品のポスター、商品カタログなどに使われていた、だだっ広い荒野や、一面真っ白の氷原、あるいは空をそのまま映す塩の湖の風景などの写真。あれもいわゆるエンプティネスを象徴してたのですね。

相当かいつまんで紹介してますが、元の記事の内容の濃いこと濃いこと。いろいろな学問・知識で組み固めてコンセプトを構成していっている感じが凄まじく説得力を持っていると感じました。超一流デザイナーのすごさというか…。ちょっと長いですが興味ある方はぜひ読んで欲しいです。

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コメント

2 コメント - “シンプルなのではなくエンプティネスである無印良品”

  1. かん吉
    2010年 2月 11日 @ 22:37

    あとね、消費者の購買心理をよく理解してて、そのスキームを上手に作ってる。

  2. TACA
    2010年 2月 11日 @ 23:24

    かん吉さん

    無印良品はそういうとこウマイですよね。
    例のリンク先の記事には、
    かん吉さんの好きそうな神社なんかのお話も出てきますよ。
    神社ももともとはエンプティネスから生まれてるんですって。
    日本には昔からエンプティネスの思想があるんだそうです。

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