ピンホール写真で見る神話の国出雲
Posted on | 2012年 5月 25日 | Permalink
県立美術館でなにやらピンホール写真作品の展示があるというウワサを聞きつけ松江まで足を運んできました。
ピンホール写真っていうのはご存知でしょうか。レンズのないカメラ、フィルムを仕込んだ箱の前に針の穴が開いてるという、ただそれだけの構造のピンホールカメラというもので撮影された写真です。カメラの原型のようなものですよね。ピンホールカメラは一瞬でシャッターを切るような現在の一般的なカメラとは違い、結構な時間をかけて露光しますので、雲は流れ、人は動き、水もモヤのようにフワーっと写ります。ピントもしっかり合うわけではないので、それらが相まって何とも言えない独特の写真になります。
そんなピンホールカメラを用いて、古事記編纂1300年に合わせ、神話の舞台でもある出雲地方の風景を切り取って表現しようとされたのが今回の個展の主旨のようです。撮影されたのは原隆利さんという方で「1300年 時空を超えて…」というタイトルでの展示でした。会場には15点ほどの作品が展示されていました。
展示されていた写真なんですが、かなり大きなプリントで迫力がありました。プリントされているペーパーは和紙素材になっていて、ピンホール写真の独特の雰囲気をより引き立てている印象でした。出雲地方の各地で撮影されており、ピンホール写真のもや〜っとした感じがとても幻想的で、神話の国出雲らしさをよく表現してたと思います。カメラの構造からか画角がかなり広くて風景がとても雄大な印象の写真が多かったです。それと、人物を入れた写真がいくつかあって、露光時間が長いせいでぼや〜っとしてるんだけど、それがなんとも言えず神がかって神秘的で美しかったなぁ。
原さんはこれらの写真を自作のピンホールカメラ(何台かある)で撮影しておられるそうです。ご本人からも構造のことや、撮影に使用する小道具の説明を聞かせていただきました。
これが一緒に展示されてたピンホールカメラ。原さんの名前を冠した「HARA-HETAX」という名前。HETAXっていうのはヘタクソと掛けて腕前を謙遜しておられるのだろうと思います。お茶目なネーミングがとてもいい(笑)
とてもいいものを見せていただきました。じつは僕も学生の頃にピンホールカメラキットを買ってちょっと遊んだことがあって、その時にとても風変わりで魅力的なピンホール写真の描写に魅了されていたのです。「うわ、これいいな、こんな表現ができるんだ〜」みたいな。もうちょっとヒマだったらカメラの自作もしてみたかったんですがゲフンゲフン。。だから、出雲地方の風景をピンホール写真で撮ってまとめられたっていうのはとても良いアイデアだと思ったので、ちょっとだけ「やられたー」なんて思ったんですけど、今回の作品を見たらとても自分じゃ真似できないレベルでびっくりしましたね。感動しました。
5月28日まで開催中のようですので興味のある方はぜひ。島根県立美術館にて10時から18時まで。入場無料です。
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