デザイナー梅原真の信念
Posted on | 2012年 2月 24日 | Permalink
先日放送されたNHK総合「プロフェッショナル 仕事の流儀」梅原真さんの回を見ました。僕もデザインを仕事にするものの端くれですが、とても心を打たれるものがありました。
梅原氏は、今では衰退しつつある地方の第一次産業に焦点を合わせ、ヒット商品を世に送り続けています。大金を積まれるから仕事を引き受けるのではなく、梅原氏は、依頼人の本気度を見て仕事を引き受けるとのこと。志を持って本気で取り組むものにデザインの力を貸し、生産者と消費者がつながるパイプを作る。そんな主義を通す梅原氏ですが、彼もまたひとつの志を胸に宿しているのですね。だからこその、この流儀になるというか。
その志とは…、梅原氏がなぜ地方の農林水産業に関する仕事ばかりするのかというと、その根底には「日本の風景を残したい」という思いがあるからだというのです。第一次産業を盛り上げて地方を活性化しようというのはよく聞くのだけれど、梅原さんの言葉はもっとストレートに心を打ってくる感じ。ぐっと来た。番組中では涙を流しながら語っておられるシーンがあり、すごく熱いものが伝わってきました。
確かに産業って風景と密接に関わっていて、その形態や盛衰で変化してしまうものだと思う。僕、学生時代にじつは地理学というのを専攻していたのでよくわかるつもりです。産業を守ることは風景を守ることになるでしょう。それに、景観的なこと以外に、「人」の風景っていうのもあるんだろうなあと思う。そういう意味では、梅原氏はコミュニケーションも含めてうまくデザインする印象もあります。
昨今のデザインというのは、やたら小手先の技術を使って奇をてらうものがあったり、へんに新しい潮流を無理矢理作り出そうとするものであったり、そういうものがまったくダメということではないんだけど、何か不自然さはあると感じます。梅原さんの活動はなんというかすっと腑に落ちるというか、良いものは良いし、良い風景を守りたい、みたいな、なにかとてもシンプル。分解しようのないシンプルな考え方。この考え方ってデザインの未来のカタチなのか、はたまた原点なのか。梅原氏も迷いの時期を経てここへたどり着いたといいます。
梅原真氏は素晴らしいデザイナーです。もう少し彼の仕事を研究してみたいなと思っているところです。
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