砂浜が消えてゆく
Posted on | 2008年 7月 18日 | Permalink
砂浜(すなはま、Beach, ビーチ)は、波によって海から砂が運ばれて堆積した海岸。海水浴などに適する。
ここ20年の間で、日本の海水浴場が30カ所も閉鎖しているそうです。なぜ?それは海水浴場であった砂浜自体が消滅したからなのだとか。
今朝のとくダネ!で特集していました。近年、急激に砂浜が後退したり、あるべきはずの砂が消えてドン深の海岸になったりしているそうです。一体砂浜の砂はどこへ消えてしまったのでしょう。
私はサーフィンするのでこの砂浜問題はとても気になるのです。サーフィンするのに砂浜という地形はとても重要な要素なんですよ。じつは自分も実体験として、近くの砂浜が急に痩せたとか、海底の地形が変わったとかいうのをこの目で見てるので、なんだかとても気になっていました。サーフィンしたいから砂浜を守れ、ってことではないんですけど、美しい砂浜の風景はずっとこの日本にありつづけて欲しいもの。
率直に言うと、砂浜消滅の原因は、砂浜を形成する土砂供給の減少がおもな要因なのだそうです。それではなぜ土砂の供給が減っているのか。それは陸からの土砂供給を遮ってしまうダムのせい。現在日本には2694箇所ものダムがあるのだそうで、これらのダムが砂浜を保つはずの土砂を海まで運ばないようにしているのです。
またこうしたダムは河川の力も奪います。流量だとか流速だとかも弱くなっているのでしょうね。上流から海まで土砂を運ぶ力が弱くなっている上に、今度は海の方からたまってくる砂さえも流しきれなくなり、堆積してくる砂が河口を塞ぐかたちになってしまうのです。
これは私も目撃しています。出雲を流れる神戸川の河口は砂洲のような砂が堆積してしまっています。また、神西湖から流出している差海川も、常に河口でショベルカーが砂を上げています。一方では砂がなくなり、一方では要らないところに砂がたまる。困ったことです。
砂浜が消える要因はダムだけではありません。海岸の人口構造物も多いに関係あるそうな。例えばテトラポッドや防波堤のことですね。こういった類いのものが波の流れを変え、それまでとは違う砂のたまり方に変わってくるのです。
千葉県の九十九里でも砂浜の後退や消滅が相次いでいるそうですが、九十九里の場合は一部の崖地形から土砂が供給されています。崖が少しずつ自然に崩れることによって砂浜の土砂を供給しているわけですね。しかしその崖崩れを防ぐための防波堤やテトラポッドが設置されはじめます。結果、崖崩れはおさまる。するとこれまで砂浜の砂を補っていた土砂の供給が止まる。このため砂浜の砂は沖へ持って行かれるばかりで減っていく、という構図があるのです。
同じ様な光景を私も近場で知っています。多伎と湖陵の境くらいのところの海岸ですが、ここはちょっと崖のような感じになっています。たぶん何もしなければ少しずつ崩れるのでしょう。でもこの崖下にテトラポッドが設置されています。海岸を後退させたくないという気持ちも分かります。この上に道路や建物があるのですから。
結局はダムだってこうした海岸の構造物だって必要で作られているのですよ。もともとあったきれいな砂浜を残したいという気持ちももちろんあるんでしょうが、それ以上に防災や国土保全の姿勢も理解できます。まさにジレンマです。
最近のエコな人たちから言わせたら、もともとの自然にかえせ、と言うのかもしれない。自分もともするとそういうキレイな意見にまわってしまうかもしれない。でも災害から守ったり、海辺にある建物や道路も守らなければならないといった考え方もある。美しい砂浜の風景は残したいけれど、んー、これは本当に難しい問題ですね。
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コメント
6 コメント - “砂浜が消えてゆく”
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2008年 7月 18日 @ 13:57
そうなんですか・・・。
別話ですが、モルディブは温暖化により水位が年々増し、数年で島自体が消える!なんて言われ急いで行きましたが、それを食い止める為に自分には何が出来るかって・・・問いますね。
2008年 7月 18日 @ 15:46
良いことだけど悪い結果を引き起こしてしまう
ホントにどうしたらいいのでしょうね。
砂浜は消えないで欲しいですもの。
2008年 7月 18日 @ 16:56
>RALPHさん
そうらしいんです。
砂浜が消えて行くなんてさみしすぎますね。
外国のあちこちで
温暖化による水位上昇の影響があらわれつつあるようですね。
これは日本も人ごとではありませんよね。
今、自分にできること、
ひとりひとりがそうやって考えることこそ大事なんじゃないでしょうか。
2008年 7月 18日 @ 17:02
>くうさん
ダムや堤防は必要なものなんですが、
あると今度は地形が変わってしまう。
ないとそれはそれで、人間が住みにくい。
ほんとに板挟みです。
短期的な改善策としては、
「養浜」といって、砂がなくなったところへ
人の手で他から砂を運んで補うという方法があるそうです。
でもすぐにまたなくなっちゃうんでしょうが。
何か恒久的な改善策があるとよいのですが…。
2008年 7月 19日 @ 22:19
はじめまして。
おっしゃるとおり、ジレンマはありますよね。
どちらも人間のエゴイズムですし、とても大切なことです。
さておき10年ほど前、ビオトープというドイツの治水工事が
ニュースで紹介されていたのですが、
そういうのは活用できないのでしょうか。
水の流れを適切に調整できればいいのでしょうけど。
2008年 7月 20日 @ 00:07
>hatchさん
はじめまして。
コメントありがとうございます。
ビオトープ、聞いたことことあります!
生物の住めるような環境を人工的に作ってやる方法ですよね。
人工的といっても環境にやさしい方法もある。
ビオトープ的なやり方で砂浜を守れないものでしょうかね。